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新しき柴の編み戸を立て替へて
年のあくるを待ちわたるかな

歌の意味
新しい柴の編み戸に立て替えて、年が明けるのを、ずっと待ち続けていることよ。
鑑賞
冬歌 573

詞書「山家歳暮」
 題「山家歳暮」は、山里の住まいで迎える年の暮れを詠む題である。山里の住まいの柴の編み戸を新しいものに立て替えて、その戸を開けるように年が明けるのを、ずっと待ち続けている、と詠む。新年を迎える支度を、粗末な住まいの戸の立て替えに見いだし、戸と年明けとを結びつけている。
 本巻の第五百七十一首で思い捨てたはずの春が待たれることを詠んだのに続き、この歌も新しい年を待つ心を詠んでおり、年の暮れの歌が続く中で、待つ心が繰り返されている。

 初句「新しき」は、新しい、の意で、新年を迎える支度の気分を示している。
 二句「柴の編み戸を」の「編み戸」は、竹や柴を編んで作った粗末な戸である。
 三句「立て替へて」の「立て替ふ」は、新しいものに取り替えて立てる、の意である。
 四句「年のあくるを」の「あくる」は、年が明ける意と、戸を開ける意とを掛けた掛詞で、二句の「編み戸」と縁語になっている。
 結句「待ちわたるかな」の「待ちわたる」は、ずっと待ち続ける、の意で、「かな」は詠嘆である。

あみど:竹や柴を編んで作った粗末な戸
たてかふ:新しいものに取り替えて立てる
あく:年が明ける意と、戸を開ける意を掛ける
まちわたる:ずっと待ち続ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
常よりも心細くぞ思ほゆる 旅の空にて年の暮れぬる
次の歌
年暮れてその営みは忘られて あらぬさまなる急ぎをぞする