おのづから言はぬを慕ふ人やあると
やすらふほどに年の暮れぬる
- 歌の意味
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もしかすると、私が便りをしないのを恋しく思ってくれる人がいるかと、ためらっているうちに年が暮れてしまった。
- 鑑賞
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冬歌 576
詞書「年の暮れに、人のもとへつかはしける」
詞書から、年の暮れに人のもとへ送った歌であることがわかる。こちらから便りをしないでいるのを、かえって恋しく思ってくれる人がいるかもしれないと、便りをするのをためらっているうちに、とうとう年が暮れてしまった、と詠む。相手の心をはかって便りを控えるうちに時が過ぎてしまった、人と人との心の機微を捉えた歌である。
『新古今和歌集』冬歌に入集している。初句「おのづから」は本巻の第五百二首の初句と同じで、そこでは訪れる人のない山里を詠んでいた。結句は第五百七十二首と同じ「年の暮れぬる」である。
初句「おのづから」は、ひょっとすると、もしかして、の意である。
二句「言はぬを慕ふ」の「慕ふ」は恋しく思う意で、私が何も言わないのを恋しく思う、の意である。
三句「人やあると」は六音の字余りで、「や」は疑問の係助詞である。そういう人がいるかと、の意である。
四句「やすらふほどに」の「やすらふ」は、ためらう、の意で、「ほどに」は、〜しているうちに、の意である。
結句「年の暮れぬる」の「ぬる」は完了の助動詞の連体形で、連体形で結んで余情を残している。本巻の第五百七十二首と同じ結句である。
したふ:恋しく思う
やすらふ:ためらう
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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おしなべて同じ月日の過ぎゆけば 都もかくや年は暮れぬる
- 次の歌
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いつか我昔の人と言はるべき 重なる年を送り迎へて