逢ふと見ることを限れる夢路にて
覚むる別れのなからましかば
- 歌の意味
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逢うと見ることだけに限られた夢の中の通い路であっても、目覚めるという別れさえなかったならばよいのに。
- 鑑賞
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恋歌 582
詞書は前の歌に続き「夢会恋」
夢の中でしか逢うことのできない恋であっても、せめて目覚めによる別れがなければよいのに、と願う歌である。夢で逢えるだけでもと諦めながら、その夢さえ目覚めによって断ち切られてしまう切なさを詠んでいる。
前歌が夢の逢瀬の後に残る現実の物思いを詠んだのに対し、この歌は夢そのものの終わり、すなわち目覚めの別れを嘆いており、同じ題を夢の内側から捉え直している。
初句「逢ふと見る」は、逢うと見る、すなわち夢の中で逢う姿を見る、の意である。
二句「ことを限れる」は、そのことだけに限られた、の意で、夢でしか逢えないことをいう。
三句「夢路にて」の「夢路」は、夢の中で恋人のもとへ通う道のことで、題の「夢会」に当たる。
四句「覚むる別れの」は、目覚めることによる別れ、の意で、夢から覚めることを恋人との別れになぞらえている。
結句「なからましかば」の「ましかば」は反実仮想で、なかったならばよいのに、と願望を込めて結ぶ。後に続く帰結を省いた余情のある結びである。
ゆめぢ:夢の中で恋人のもとへ通う道
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なかなかに夢に嬉しき逢ふことは うつつに物を思ふなりけり
- 次の歌
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夢とのみ思ひなさるるうつつこそ あひ見しことのかひなかりけれ