今朝よりぞ人の心はつらからで
明けはなれゆく空を恨むる
- 歌の意味
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今朝からは、あの人の心はつらいとは思わなくなって、すっかり明けてゆく空のほうを恨むことだ。
- 鑑賞
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恋歌 584
詞書「後朝」
題「後朝」は、共に夜を過ごした男女が翌朝に別れることを詠む題である。これまでは冷たいあの人の心をつらいと恨んでいたが、ようやく逢えた今朝からは、人の心ではなく、二人を引き離すように明けてゆく空を恨むようになった、と詠む。恨む相手が人から空へと移ったところに、逢瀬を遂げた喜びと別れのつらさとが込められている。
初句「今朝よりぞ」は、今朝からは、の意で、係助詞「ぞ」が結句の連体形「恨むる」と係り結びをなしている。題の「後朝」に当たる。
二句「人の心は」の「人」は恋の相手のことである。
三句「つらからで」の「で」は打消の接続助詞で、つらく思うことはなくて、の意である。逢瀬を遂げて、相手の冷たさを恨む必要がなくなったことをいう。
四句「明けはなれゆく」は、夜がすっかり明けてゆく、の意で、別れの時が迫ることを示す。
結句「空を恨むる」は、空を恨むことだ、の意で、初句の「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。
きぬぎぬ:共に夜を過ごした男女が翌朝別れること、またその朝
あけはなる:夜がすっかり明ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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夢とのみ思ひなさるるうつつこそ あひ見しことのかひなかりけれ
- 次の歌
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逢ふことを忍ばざりせば道芝の 露より先におきて来ましや