さらぬだに帰りやられぬしののめに
添へて語らふ郭公かな
- 歌の意味
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そうでなくてさえ帰って行く気になれない明け方に、それに添えるように鳴いて語りかける郭公であることよ。
- 鑑賞
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恋歌 586
詞書「後朝郭公」
題「後朝郭公」は、後朝の別れに郭公を取り合わせた題である。ただでさえ恋人のもとから帰りがたい明け方に、郭公までが鳴き声を添えて語りかけてくるので、ますます立ち去りにくくなる、と詠む。夏の明け方に鳴く郭公の声が、別れの名残惜しさをいっそう募らせている。
前の二首の「後朝」の題を受け、この歌からは後朝に郭公、花橘、霧、時雨と季節の景物を配した題が続き、別れの朝のさまざまな情景が詠み分けられている。
初句「さらぬだに」は、そうでなくてさえ、の意で、郭公が鳴かなくてもすでに、ということである。
二句「帰りやられぬ」の「やる」は、最後までし遂げる意で、帰って行くことができない、の意である。
三句「しののめに」の「しののめ」は明け方のことで、題の「後朝」に当たる。
四句「添へて語らふ」は、それに添えて語りかける、の意で、郭公の鳴き声を語りかけと見ている。
結句「郭公かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、体言に添えて結ぶ。題の「郭公」に当たる。
しののめ:明け方、夜明け
かたらふ:親しく話しかける、ここでは郭公が鳴くこと
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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逢ふことを忍ばざりせば道芝の 露より先におきて来ましや
- 次の歌
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重ねてはこひえまほしき移り香を 花橘に今朝たぐへつつ