やすらはん大方の夜は明けぬとも
闇とか言へる霧にこもりて
- 歌の意味
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ぐずぐずとためらっていよう。世間一般の夜は明けてしまったとしても、闇とでもいうような深い霧の中にこもって。
- 鑑賞
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恋歌 588
詞書「後朝霧」
題「後朝霧」は、後朝の別れに霧を取り合わせた題である。世間ではもう夜が明けてしまったとしても、あたりは闇とでもいうような深い霧に包まれているのだから、その霧にこもってまだ帰らずにいよう、と詠む。霧の深さを口実に、別れを少しでも先へ延ばしたい心を表している。
次歌の第五百八十九首も三句に「やすらはん」を用い、時雨を口実に別れをためらっており、霧と時雨という異なる景物で同じ心を詠んだ対になっている。
初句「やすらはん」の「やすらふ」は、ためらう、ぐずぐずする、の意で、「ん」は意志を表す。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「大方の夜は」の「大方の」は、世間一般の、の意で、二人のいる場所とは別の世の中をいう。
三句「明けぬとも」は、明けてしまったとしても、の意で、「とも」は逆接の仮定条件を表す。
四句「闇とか言へる」は、闇とでもいうような、の意で、霧の深さを強調している。
結句「霧にこもりて」は、霧の中にこもって、の意で、初句の「やすらはん」に返る倒置となっている。題の「霧」に当たる。
やすらふ:ためらう、ぐずぐずする
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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重ねてはこひえまほしき移り香を 花橘に今朝たぐへつつ
- 次の歌
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ことづけて今朝の別れをやすらはん 時雨をさへや袖にかくべき