漏らさじと袖にあまるをつつままし
情けを忍ぶ涙なりせば
- 歌の意味
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人に漏らすまいと、袖からあふれる涙も包み隠しもしよう。もしこれが、あの人の情けをひそかに慕って流す涙であったならば。
- 鑑賞
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恋歌 592
詞書「恨」
題「恨」は、恋の恨みを詠む題である。もしこれがあの人の情けをひそかに慕って流す涙であるならば、人目に漏らすまいと袖からあふれるのを包み隠しもしようが、恨みの涙であるから包みきれない、と詠む。反実仮想によって、恨みの深さを表している。
初句「漏らさじと」は、人に漏らすまいと、の意で、「じ」は打消の意志を表す。
二句「袖にあまるを」は、袖に受けきれずにあふれる涙を、の意である。
三句「つつままし」は、包み隠しもしよう、の意で、「まし」は結句の「せば」と呼応する反実仮想である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「情けを忍ぶ」の「情け」は相手の思いやりのことで、「忍ぶ」はひそかに慕う、の意である。
結句「涙なりせば」は、涙であったならば、の意で、上の句に返る倒置となっている。実際は恨みの涙であることを言外に示して、題の「恨」に応じている。
なさけ:思いやり、恋人の情愛
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さらばたださらでぞ人のやみなまし さて後もさはさもあらじとや
- 次の歌
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唐衣たち離れにしままならば 重ねてものは思はざらまし