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唐衣たち離れにしままならば
重ねてものは思はざらまし

歌の意味
唐衣を裁つように、一度離れてしまったままであったならば、重ねて物思いをすることもなかったろうに。
鑑賞
恋歌 593

詞書「再絶恋」
 題「再絶恋」は、一度途絶えた恋がまた結ばれ、再び途絶えてしまうことを詠む題である。最初に別れたままであったならば、こうして重ねて物思いをすることもなかっただろうに、と詠む。唐衣を枕にして「たち」に衣を裁つ意と立ち離れる意とを掛け、「重ね」を衣の縁語として用い、衣に関わる言葉で恋の再び絶えた嘆きを仕立てている。

 初句「唐衣」は、中国風の美しい衣のことで、衣を「裁つ」ことから「たち」を導いている。
 二句「たち離れにし」の「たち」は、衣を裁つ意と、立ち離れる意とを掛けた掛詞である。一度別れてしまった、の意である。
 三句「ままならば」は、そのままであったならば、の意で、結句の「まし」と呼応する。
 四句「重ねてものは」の「重ね」は衣を重ねる意を持つ唐衣の縁語で、再び、の意である。題の「再」に当たる。
 結句「思はざらまし」の「まし」は反実仮想で、物思いをしなかっただろうに、の意で結ぶ。

からころも:中国風の美しい衣
たつ:衣を裁つ意と、立ち離れる意を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
漏らさじと袖にあまるをつつままし 情けを忍ぶ涙なりせば
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賤の女がすそとる糸に露添ひて 思ひにたがふ恋もするかな