朝ごとに声をとどむる風の音は
夜を経てかかる人の心か
- 歌の意味
-
朝が来るたびに音を立てなくなってゆく風の音は、夜を重ねるにつれてこのようになってゆくあの人の心なのだろうか。
- 鑑賞
-
恋歌 606
詞書「寄落葉恋」
題「寄落葉恋」は、落葉に寄せて恋を詠む題である。夜ごとに吹く風が木の葉を散らし、朝が来るたびに鳴らす葉が減って風の音がしなくなってゆく。そのさまを、夜を重ねるにつれて訪れも便りも絶えてゆくあの人の心に重ねて問いかけている、と解される。木の葉が散り尽くして静まってゆく初冬の情景に、冷えてゆく恋を託した一首である。
初句「朝ごとに」は、朝が来るたびに、の意である。
二句「声をとどむる」は、声を止める、の意で、木の葉が散って風が音を立てなくなることをいう。
三句「風の音は」は、風の音は、の意で、木の葉を散らす風をいう。題の「落葉」を暗示している。
四句「夜を経てかかる」は、夜を重ねてこのようになる、の意と解される。
結句「人の心か」の「か」は疑問で、あの人の心なのだろうか、と問いかけて結ぶ。
とどむ:止める
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
わが涙時雨の雨にたぐへばや 紅葉の色の袖にまがへる
- 次の歌
-
春を待つ諏訪のわたりもあるものを いつを限りにすべきつららぞ