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春を待つ諏訪のわたりもあるものを
いつを限りにすべきつららぞ

歌の意味
春を待てば解ける諏訪の湖の氷の渡りもあるというのに、私の氷はいつを終わりとすればよいのだろうか。
鑑賞
恋歌 607

詞書「寄氷恋」
 題「寄氷恋」は、氷に寄せて恋を詠む題である。信濃の諏訪の湖は冬に凍りつき、その氷の上を渡ることができるが、それも春を待てば解ける。それなのに、自分の恋の氷はいつ解けるとも知れない、と詠む。凍りついたままのあの人のつれなさ、あるいは解けることのない自分の嘆きを、諏訪の氷と対比している。

 初句「春を待つ」は、春を待てば解ける、の意で、二句の「諏訪のわたり」にかかる。
 二句「諏訪のわたりも」の「諏訪」は信濃国の諏訪湖のことで、「わたり」は凍った湖の上を渡る所をいう。
 三句「あるものを」の「ものを」は逆接の接続助詞で、あるというのに、の意である。
 四句「いつを限りに」は、いつを終わりとして、の意である。
 結句「すべきつららぞ」の「つらら」は氷のことで、「ぞ」は強く問いかける気持ちを表す。題の「氷」に当たる。

すは:信濃国の諏訪湖
わたり:渡る所、渡し場
つらら:氷
作者
西行
出典
山家集
前の歌
朝ごとに声をとどむる風の音は 夜を経てかかる人の心か
次の歌
わが袖の涙かかると濡れてあれな うらやましきは池の鴛鴦