筧にも君がつららや結ぶらん
心細くも絶えぬなるかな
- 歌の意味
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筧にも、あなたのつれなさのような氷が張っているのだろうか。心細いことに、水の流れが絶えてしまったようだ。
- 鑑賞
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恋歌 609
詞書「賀茂の方にささきと申す里に、冬深く侍りけるに、隆信など詣で来て、山家恋と言ふ事を詠みけるに」
詞書から、賀茂のあたりのささきという里に冬深く滞在していた折、藤原隆信らが訪ねて来て、「山家恋」という題で歌を詠んだ時の作であることがわかる。隆信は似絵の名手として知られる歌人である。山里の住まいでは筧で水を引くが、冬の寒さに凍りついたのか、その水音が絶えてしまった。それをあの人のつれなさが氷となって筧に結んだのかと見立て、訪れも便りも絶えた心細さを詠んでいる。
これまでの物に寄せる題詠に続いて、この歌からは詠作の場を記した詞書を持つ歌がしばらく並ぶ。
初句「筧にも」の「筧」は、山里で水を引くために地上に掛け渡した竹や木の樋のことで、題の「山家」に当たる。
二句「君がつららや」の「つらら」は氷のことで、あなたのつれなさを氷に見立てている。係助詞「や」が三句の連体形「らん」と係り結びをなしている。
三句「結ぶらん」は、氷が張っているのだろうか、の意で、「や」を受けて連体形で結ぶ。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「心細くも」は、心細いことに、の意で、山里の寂しさと恋の不安とが重なっている。
結句「絶えぬなるかな」の「なる」は音によって推し量る推定の助動詞で、筧の水音が聞こえなくなって、水の流れが絶えたようだ、の意である。恋の途絶えを重ねて結ぶ。
かけひ:水を引くために地上に掛け渡した竹や木の樋
つらら:氷
まうづ:参上する、伺う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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わが袖の涙かかると濡れてあれな うらやましきは池の鴛鴦
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思ひかね市の中には人多み ゆかり尋ねてつくる玉章