- 歌の意味
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思いに堪えかねて、市の中は人が多いので、つてを探し求めて、商人に託す恋文であることよ。
- 鑑賞
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恋歌 610
詞書「売人に付文恋と言ふ事を」
詞書から、「売人に付文恋」、すなわち商いをする人に恋文を託す恋を題として詠んだ歌であることがわかる。思いに堪えかねて恋文を届けたいが、市の中は人が多く人目に立つので、つてを探して商人に託すのだ、と詠む。人目を忍ぶ恋の苦心を、市という人の集まる場の情景に置いて描いている。
初句「思ひかね」は、思いに堪えかねて、の意である。
二句「市の中には」の「市」は物を売り買いする所で、題の「売人」に関わる場面である。
三句「人多み」の「み」は原因や理由を表す接尾語で、人が多いので、の意である。
四句「ゆかり尋ねて」の「ゆかり」は、縁のある人、つてのことで、つてを探し求めて、の意である。
結句「つくる玉章」の「つく」は託す、届けさせる、の意で、「玉章」は手紙のことである。体言止めで結び、題の「付文」に当たる。
ゆかり:縁のある人、つて
たまづさ:手紙
つく:託す、届けさせる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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筧にも君がつららや結ぶらん 心細くも絶えぬなるかな
- 次の歌
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波しのぐことをも何か煩はん 君に逢ふべき道と思はば