波しのぐことをも何か煩はん
君に逢ふべき道と思はば
- 歌の意味
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波をしのいで海を渡ることも、どうして厄介だと思おうか。それがあなたに逢うための道だと思うならば。
- 鑑賞
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恋歌 611
詞書「海路恋」
題「海路恋」は、海の旅路に寄せて恋を詠む題である。荒い波を押し分けて海を渡る苦労も、それが恋しい人に逢うための道であると思えば、少しも苦にはならない、と詠む。海路の困難を、恋の一途さを示すものとして用いている。
初句「波しのぐ」の「しのぐ」は、押し分けて進む、耐えて乗り越える、の意で、題の「海路」に当たる。
二句「ことをも何か」の「何か」は反語を表し、三句の「ん」と係り結びをなしている。
三句「煩はん」の「煩ふ」は、苦にする、思い悩む、の意で、どうして苦にしようか、いや苦にはしない、ということである。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「君に逢ふべき」は、あなたに逢うことのできる、の意である。
結句「道と思はば」の「道」は海路を指し、それをあなたに逢うための道と思うならば、の意で、上の句に返る倒置となっている。
しのぐ:押し分けて進む、耐えて乗り越える
わづらふ:苦にする、思い悩む
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思ひかね市の中には人多み ゆかり尋ねてつくる玉章
- 次の歌
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岩代の松風聞けば物思ふ 人も心ぞ結ぼほれける