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天降る神のしるしのありなしを
つれなき人の行方にて見ん

歌の意味
天から降りたもうた神のご利益があるかないかを、つれないあの人のこれからの成り行きで見届けよう。
鑑賞
恋歌 615

詞書「同じ社にて析神恋と言ふ事を、神主ども詠みけるに」
 詞書から、前歌と同じ賀茂社で、神主たちが恋の題で歌を詠んだ折の作であることがわかる。題の「析神恋」の「析」は、「祈」の誤りと見られ、神に祈る恋を詠む題と解される。賀茂の神は天から降臨した神とされる。その神に恋の成就を祈ったが、ご利益があるかないかは、つれないあの人がこれからどうなってゆくかで見届けよう、と詠む。神主たちを前にして、神の霊験を恋の行方に懸けてみせた一首である。

 初句「天降る」は、天から降りてくる、の意で、天から降臨したとされる賀茂の神をいう。
 二句「神のしるしの」の「しるし」は、神仏の霊験、ご利益のことで、題の「神」に当たる。
 三句「ありなしを」は、あるかないかを、の意である。
 四句「つれなき人の」の「つれなし」は、冷淡だ、こちらの思いに応えない、の意である。
 結句「行方にて見ん」の「行方」は、これからの成り行きのことで、「ん」は意志を表す。成り行きによって見届けよう、と結ぶ。

あまくだる:天から降りてくる
しるし:神仏の霊験、ご利益
ゆくへ:これからの成り行き
作者
西行
出典
山家集
前の歌
ことつくる御阿礼のほどを過ぐしても なほやうづきの心なるべき
次の歌
月待つと言ひなされつる宵の間の 心の色を袖に見えぬる