月待つと言ひなされつる宵の間の
心の色を袖に見えぬる
- 歌の意味
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月を待っているのだと言いつくろってきた宵のうちの、人を待つ心の色を、袖の涙に見られてしまった。
- 鑑賞
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恋歌 616
詞書「月」
本文では詞書が「恋:月」と記され、恋の部の中に「月」の題で詠まれた歌がまとまって収められていることを示している。この歌から第六百五十二首まで、月に寄せて恋を詠んだ三十七首が続く。その一首目である。宵のうちに外を眺めているのは月を待っているのだと言いつくろってきたが、実は恋しい人を待つ心であることが、袖を濡らす涙の色によって人に見られてしまった、と詠む。
初句「月待つと」は、月を待っているのだと、の意である。
二句「言ひなされつる」の「言ひなす」は、そうであるかのように言う、言いつくろう、の意である。
三句「宵の間の」は、夜に入って間もない頃の、の意で、恋人の訪れを待つ時刻である。
四句「心の色を」は、心のさまを、の意で、恋人を待つ心をいう。
結句「袖に見えぬる」は、袖の涙によって見られてしまった、の意で、包み隠した恋が涙によって表れたことを示して結ぶ。
いひなす:そうであるかのように言う、言いつくろう
よひ:夜に入って間もない頃
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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天降る神のしるしのありなしを つれなき人の行方にて見ん
- 次の歌
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知らざりき雲居のよそに見し月の 影を袂に宿すべしとは