知らざりき雲居のよそに見し月の
影を袂に宿すべしとは
- 歌の意味
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思いもしなかった。遠い空のかなたに見ていた月の光を、涙に濡れた袂に宿すことになろうとは。
- 鑑賞
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恋歌 617
詞書は前の歌に続き「月」
遠く雲の上に眺めていた月の光が、今は恋の涙に濡れた袂に映っている。かつて自分とは関わりのないものとして眺めていた月を、恋の涙の袂に宿すことになろうとは思いもしなかった、と詠む。「雲居のよそ」には、手の届かない遠い存在への恋も重ねて読み取ることができる。
千載集の恋歌四に、円位法師の名で収められている。
初句「知らざりき」の「き」は過去の助動詞で、知らなかった、思いもしなかった、の意である。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「雲居のよそに」の「雲居」は空、雲のある所のことで、「よそ」は自分とは関わりのない遠い所の意である。
三句「見し月の」は、見ていた月の、の意である。
四句「影を袂に」の「影」は月の光、「袂」は袖のことで、涙に濡れた袂を暗示している。
結句「宿すべしとは」は、宿すことになろうとは、の意で、初句の「知らざりき」に返る倒置となっている。
くもゐ:空、雲のある所
たもと:袖
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月待つと言ひなされつる宵の間の 心の色を袖に見えぬる
- 次の歌
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あはれとも見る人あらば思ひなん 月の面に宿る心は