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あはれとも見る人あらば思ひなん
月の面に宿る心は

歌の意味
月の面に宿っている私の心を、もし見る人があるならば、あわれだと思ってくれるだろう。
鑑賞
恋歌 618

詞書は前の歌に続き「月」
 恋に思い悩みながら月を見つめていると、自分の心が月の面に宿っているように思われる。その心を見る人があるならば、きっとあわれだと思ってくれるだろう、と詠む。恋しい人もこの月を見ていてくれれば、という願いもにじんでいる。
 玉葉集に収められている。

 初句「あはれとも」の「あはれ」は、しみじみとかわいそうだ、心ひかれる、の意である。
 二句「見る人あらば」は、見る人があるならば、の意で、恋しい人を念頭に置いている。
 三句「思ひなん」の「な」は強意、「ん」は推量で、きっと思うだろう、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「月の面に」は、月の表面に、の意で、題の「月」に当たる。
 結句「宿る心は」は、宿っている私の心は、の意で、上の句に返る倒置となっている。

あはれ:しみじみとした情趣、かわいそうだと思う心
作者
西行
出典
山家集
前の歌
知らざりき雲居のよそに見し月の 影を袂に宿すべしとは
次の歌
月見ればいでやと世のみ思ほえて 持たりにくくもなる心かな