古典和歌stream

面影の忘らるまじき別れかな
名残を人の月にとどめて

歌の意味
面影がとても忘れられそうにない別れであることよ。あの人が名残を月にとどめていったので。
鑑賞
恋歌 621

詞書は前の歌に続き「月」
 別れていったあの人が、その名残を月にとどめていったので、月を見るたびに面影が浮かび、とても忘れられそうにない別れである、と詠む。月を見るたびに恋人を思い出す苦しさが、二人で見た月の光に託されている。
 新古今集の恋歌三に収められている。

 初句「面影の」の「面影」は、目の前にないのに心に浮かぶ姿のことである。
 二句「忘らるまじき」の「る」は可能、「まじき」は打消推量で、忘れることができそうにない、の意である。
 三句「別れかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「名残を人の」の「名残」は、別れた後に残る気配や思い出のことである。
 結句「月にとどめて」は、月にとどめていって、の意で、上の句の理由を示す倒置となっている。題の「月」に当たる。

なごり:別れた後に残る気配や思い出
作者
西行
出典
山家集
前の歌
弓張の月にはづれて見し影の やさしかりしはいつか忘れん
次の歌
秋の夜の月や涙をかこつらん 雲なき影をもてやつすとて