天の原冴ゆるみ空は晴れながら
涙ぞ月の雲になりける
- 歌の意味
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大空の冷え冷えと冴えわたる空は晴れているのに、私の涙が月を隠す雲となってしまったことだ。
- 鑑賞
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恋歌 623
詞書は前の歌に続き「月」
大空は冷え冷えと冴えわたり、雲ひとつなく晴れている。それなのに月がかすんで見えるのは、自分の涙が月を隠す雲となっているからだ、と詠む。晴れた空と涙の雲とを対比させている。
前歌が涙で月がかすむことを月の側から恨み言として詠んだのを受け、この歌は涙そのものを雲に見立てており、同じ趣向を角度を変えて詠み継いでいる。
初句「天の原」は、広々とした大空のことである。
二句「冴ゆるみ空は」の「冴ゆ」は、冷え冷えと澄みわたる、の意で、「み空」は空の美称である。
三句「晴れながら」の「ながら」は逆接で、晴れているのに、の意である。
四句「涙ぞ月の」の係助詞「ぞ」は、結句の連体形「ける」と係り結びをなしている。題の「月」に当たる。
結句「雲になりける」の「ける」は気づきの詠嘆で、涙が雲になってしまったことだ、と結ぶ。三句の「晴れ」と対照をなしている。
あまのはら:広々とした大空
さゆ:冷え冷えと澄みわたる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋の夜の月や涙をかこつらん 雲なき影をもてやつすとて
- 次の歌
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物思ふ心のたけぞ知られぬる 夜な夜な月を眺め明かして