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あしひきの山のあなたに君住まば
入るとも月を惜しまざらまし

歌の意味
山の向こうにあなたが住んでいるならば、月が山の端に入って隠れても、惜しみはしないだろうに。
鑑賞
恋歌 627

詞書は前の歌に続き「月」
 もし山の向こうにあなたが住んでいるのならば、月が山に沈んでいっても、あなたのもとへ行くのだと思って惜しみはしないだろうに、と詠む。沈む月を惜しむ心と、恋しい人のいる方角を慕う心とを、反実仮想によって結びつけている。

 初句「あしひきの」は、「山」を導く枕詞である。
 二句「山のあなたに」の「あなた」は、向こう側のことである。
 三句「君住まば」は、あなたが住んでいるならば、の意で、結句の「まし」と呼応する。
 四句「入るとも月を」は、月が山に沈んでも、の意である。題の「月」に当たる。
 結句「惜しまざらまし」の「まし」は反実仮想で、惜しみはしないだろうに、の意で結ぶ。

あなた:向こう側
作者
西行
出典
山家集
前の歌
思ひ出づることはいつともいひながら 月にはたえぬ心なりけり
次の歌
嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな