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君にいかで月に争ふほどばかり
めぐり逢ひつつ影を並べん

歌の意味
あなたと、なんとかして、月とめぐりの早さを競うほどに、たびたびめぐり逢っては、姿を並べたいものだ。
鑑賞
恋歌 629

詞書は前の歌に続き「月」
 月は空をめぐって何度でも姿を現す。その月と競い合うほどに、恋しいあなたとたびたびめぐり逢い、二人で並んで月の光を浴びたいものだ、と詠む。めぐる月に、めぐり逢う恋人同士を重ねている。

 初句「君にいかで」の「いかで」は、なんとかして、の意で、結句の意志の「ん」と呼応している。
 二句「月に争ふ」は、月と競い合う、の意で、月のめぐりと競うことをいう。題の「月」に当たる。
 三句「ほどばかり」は、それほどまでに、の意である。
 四句「めぐり逢ひつつ」の「めぐり」は月がめぐる意を受け、たびたびめぐり逢っては、の意である。「つつ」は反復を表す。
 結句「影を並べん」の「影」は姿のことで、月光の中に二人の姿を並べたい、と願って結ぶ。

めぐりあふ:めぐりめぐって再び逢う
かげ:姿
作者
西行
出典
山家集
前の歌
嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな
次の歌
白妙の衣重ぬる月影の 冴ゆる真袖にかかる白露