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白妙の衣重ぬる月影の
冴ゆる真袖にかかる白露

歌の意味
白い衣を重ねたかのように月の光が冷え冷えと映る両袖に、白露のような涙がかかっている。
鑑賞
恋歌 630

詞書は前の歌に続き「月」
 白い衣を重ねたように月の光が白々と冷えて映る両袖に、白露がかかっている、と詠む。白露には恋の涙が重ねられており、月光の白さと露の白さとが重なり合う、冷え冷えとした独り寝の情景を描いている。

 初句「白妙の」は、白い布の意で、「衣」を導く枕詞である。
 二句「衣重ぬる」は、衣を重ねるような、の意で、月の光が袖に白く重なって映ることをいう。
 三句「月影の」は、月の光の、の意で、題の「月」に当たる。
 四句「冴ゆる真袖に」の「冴ゆ」は冷え冷えとする、の意で、「真袖」は左右の両袖のことである。
 結句「かかる白露」の「白露」は白く光る露のことで、恋の涙を重ねている。体言止めで結ぶ。

しろたへ:白い布、「衣」にかかる枕詞
まそで:左右の両袖
しらつゆ:白く光る露
作者
西行
出典
山家集
前の歌
君にいかで月に争ふほどばかり めぐり逢ひつつ影を並べん
次の歌
忍び音の涙たたふる袖のうらに なづまず宿る秋の夜の月