忍び音の涙たたふる袖のうらに
なづまず宿る秋の夜の月
- 歌の意味
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声を忍んで泣く涙をたたえた袖の裏に、ためらいもなく宿る秋の夜の月であることよ。
- 鑑賞
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恋歌 631
詞書は前の歌に続き「月」
人目を忍んで声を殺して泣く涙が、袖の裏に浦の水のようにたまっている。そこへ秋の夜の月が、少しもためらうことなく映って宿る、と詠む。「袖のうら」に袖の裏と浦とを掛け、「たたふ」を浦の縁語として、涙を海辺の情景に見立てている。
初句「忍び音の」の「忍び音」は、人目をはばかって声を殺して泣くことである。
二句「涙たたふる」の「たたふ」は、水をいっぱいに満たす、の意で、「浦」の縁語である。
三句「袖のうらに」の「うら」は、袖の裏の意と、浦の意とを掛けた掛詞である。字余りの句となっている。
四句「なづまず宿る」の「なづむ」は、ためらう、滞る、の意で、ためらうこともなく宿る、ということである。
結句「秋の夜の月」は体言止めで、涙の浦に映る月を示して結ぶ。題の「月」に当たる。
しのびね:人目をはばかって声を殺して泣くこと
たたふ:水をいっぱいに満たす
うら:袖の裏の意と、浦の意を掛ける
なづむ:ためらう、滞る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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白妙の衣重ぬる月影の 冴ゆる真袖にかかる白露
- 次の歌
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物思ふ袖にも月は宿りけり 濁らで澄める水ならねども