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面影に君が姿を見つるより
にはかに月の曇りぬるかな

歌の意味
月の光の中に、あなたの姿を面影として見たその時から、急に月が曇ってしまったことだ。
鑑賞
恋歌 639

詞書は前の歌に続き「月」
 月を眺めていると、そこにあなたの姿が面影として浮かんで見えた。その時から、急に月が曇ってしまった、と詠む。月が曇ったのは、恋しさのあまりにあふれた涙のためであることを、言外に示している。

 初句「面影に」の「面影」は、目の前にないのに心に浮かぶ姿のことである。
 二句「君が姿を」は、あなたの姿を、の意である。
 三句「見つるより」の「より」は起点を表し、見たその時から、の意である。
 四句「にはかに月の」は、急に月が、の意で、題の「月」に当たる。
 結句「曇りぬるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、曇ってしまったことだ、と結ぶ。曇りの原因が涙であることを言外に示している。

おもかげ:目の前にないのに心に浮かぶ姿
作者
西行
出典
山家集
前の歌
あやにくにしるくも月の宿るかな 夜にまぎれてと思ふ袂に
次の歌
夜もすがら月を見顔にもてなして 心の闇に迷ふ頃かな