夜もすがら月を見顔にもてなして
心の闇に迷ふ頃かな
- 歌の意味
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一晩じゅう、月を眺めているような顔をしてふるまいながら、実は恋に乱れる心の闇に迷っているこの頃であることよ。
- 鑑賞
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恋歌 640
詞書は前の歌に続き「月」
一晩じゅう、いかにも月を眺めているような顔をしてふるまっているが、実は恋に乱れて分別を失った心の闇の中をさまよっているこの頃である、と詠む。月の明るさと心の闇とを対比し、人目には月を愛でる風雅を装いながら、内には恋の惑いを抱えた姿を描いている。
初句「夜もすがら」は、一晩じゅう、の意である。
二句「月を見顔に」の「見顔」は、見ているような顔つきのことで、題の「月」に当たる。
三句「もてなして」の「もてなす」は、ふるまう、そのように装う、の意である。
四句「心の闇に」の「心の闇」は、分別を失って思い乱れる心を闇にたとえた語で、月の明るさと対照をなしている。
結句「迷ふ頃かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、心の闇に迷うこの頃を嘆いて結ぶ。
もてなす:ふるまう、そのように装う
こころのやみ:分別を失って思い乱れる心を闇にたとえた語
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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面影に君が姿を見つるより にはかに月の曇りぬるかな
- 次の歌
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秋の月物思ふ人のためとてや 憂き面影に添へて出づらん