涙ゆゑ月は曇れる月なれば
流れぬ折ぞ晴れ間なりける
- 歌の意味
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涙のために曇っている月であるから、涙が流れない時こそが晴れ間なのであった。
- 鑑賞
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恋歌 643
詞書は前の歌に続き「月」
月が曇って見えるのは空の雲のせいではなく涙のためであるから、涙が流れずにいる時だけが、月にとっての晴れ間なのだ、と詠む。晴れ間の少なさによって、絶え間なく流れる恋の涙を表している。
本巻の第六百三十七首と同じく初句を「涙ゆゑ」とし、涙で曇る月を詠んでいる。
初句「涙ゆゑ」は、涙のために、の意である。
二句「月は曇れる」は、月は曇っている、の意で、題の「月」に当たる。
三句「月なれば」は、月であるから、の意で、二句と同じ「月」の語を重ねている。
四句「流れぬ折ぞ」は、涙が流れない時こそ、の意で、係助詞「ぞ」が結句の連体形「ける」と係り結びをなしている。
結句「晴れ間なりける」の「晴れ間」は雲の切れ間のことで、晴れ間なのであった、と気づいた詠嘆で結ぶ。
はれま:雲の切れ間
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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隔てたる人の心のくまにより 月をさやかに見ぬが悲しさ
- 次の歌
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くまもなき折しも人を思ひ出でて 心と月をやつしつるかな