くまもなき折しも人を思ひ出でて
心と月をやつしつるかな
- 歌の意味
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月が一点の陰りもなく照る折も折、あの人を思い出して、自ら涙で月をみすぼらしく曇らせてしまったことだ。
- 鑑賞
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恋歌 644
詞書は前の歌に続き「月」
一点の陰りもなく月が照る、まさにその時に恋しい人を思い出してしまい、自分から涙を流して、せっかくの月を曇らせ、みすぼらしくしてしまった、と詠む。誰のせいでもなく自分の心から月を損なってしまったという嘆きに、恋の思いの抑えがたさが表れている。
新古今集の恋歌四に収められている。
初句「くまもなき」の「くまなし」は、陰りがない、の意で、月が明るく照るさまをいう。
二句「折しも人を」の「折しも」は、ちょうどその時、折も折、の意である。
三句「思ひ出でて」は、恋しい人を思い出して、の意である。三句は六音の字余りとなっている。
四句「心と月を」の「心と」は、自分の心から、自分から進んで、の意である。題の「月」に当たる。
結句「やつしつるかな」の「やつす」は、みすぼらしくする、の意で、涙で月を曇らせたことを嘆いて結ぶ。
くまなし:陰りがない
をりしも:ちょうどその時、折も折
やつす:みすぼらしくする
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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涙ゆゑ月は曇れる月なれば 流れぬ折ぞ晴れ間なりける
- 次の歌
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物思ふ心のくまをのごひうてて 曇らぬ月を見るよしもがな