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物思ひて眺むる頃の月の色に
いかばかりなるあはれ染むらん

歌の意味
物思いをしながら眺めるこの頃の月の色には、どれほどのあわれが染みこんでいるのだろうか。
鑑賞
恋歌 649

詞書は前の歌に続き「月」
 恋の物思いにふけりながら眺めるこの頃の月の光の色には、どれほど深いあわれが染みこんでいるのだろう、と詠む。物思いの心で見るからこそ、月の色がひときわ深いあわれを帯びて見えることを、月に染みこんだあわれとして表している。

 初句「物思ひて」は、物思いをして、の意で、六音の字余りとなっている。
 二句「眺むる頃の」は、眺めるこの頃の、の意である。
 三句「月の色に」は、月の光の色に、の意で、六音の字余りとなっている。題の「月」に当たる。
 四句「いかばかりなる」は、どれほどの、の意である。
 結句「あはれ染むらん」の「染む」は染みこむ、の意で、「らん」は現在推量である。「色」と「染む」は縁語の関係にある。

そむ:染みこむ、色がつく
作者
西行
出典
山家集
前の歌
眺むるに慰むことはなけれども 月を友にて明かす頃かな
次の歌
天雲のわりなき隙を漏る月の 影ばかりだにあひ見てしかな