天雲のわりなき隙を漏る月の
影ばかりだにあひ見てしかな
- 歌の意味
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空の雲のわずかなすき間から漏れてくる月の光ほどの、ほんのわずかな間だけでも、あの人と逢いたいものだ。
- 鑑賞
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恋歌 650
詞書は前の歌に続き「月」
空を覆う雲の、どうにもならないほどわずかなすき間から漏れてくる月の光のように、ほんのわずかな間だけでもよいから、恋しい人と逢いたい、と詠む。雲間の月のはかない光に、ひと目でも逢いたいという切実な願いを重ねている。
初句「天雲の」は、空の雲の、の意である。
二句「わりなき隙を」の「わりなし」は、どうにもならない、の意で、どうしようもなくわずかなすき間を、ということである。
三句「漏る月の」は、漏れてくる月の、の意で、題の「月」に当たる。
四句「影ばかりだに」の「影」は月の光、また姿のことで、「だに」は最小限の願いを表す。そのわずかな光ほどでも、の意である。
結句「あひ見てしかな」の「てしかな」は自己の願望を表す終助詞で、逢いたいものだ、と結ぶ。
わりなし:どうにもならない、道理に合わない
ひま:すき間
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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物思ひて眺むる頃の月の色に いかばかりなるあはれ染むらん
- 次の歌
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あさの月信太の森の千枝よりも 繁きなげきやくまなかるらん