思ひ知る人ありあけの夜なりせば
つきせず身をば恨みざらまし
- 歌の意味
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私の思いを分かってくれる人がいる、そんな有明の月の夜であったならば、尽きることなくわが身を恨むことはなかっただろうに。
- 鑑賞
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恋歌 652
詞書は前の歌に続き「月」
私の思いを分かってくれる人がいる夜であったならば、有明の月を見ながら、尽きることなくわが身の拙さを恨み続けることもなかっただろうに、と詠む。「ありあけ」に人が有る意と有明の月とを、「つきせず」に尽きせずと月とを掛け、月の言葉に恋の嘆きを織り込んでいる。
恋の部の中の「月」の歌群の最後に置かれた一首であり、明け方の有明の月によって、月に寄せた恋の歌々を締めくくっている。
初句「思ひ知る」は、私の思いを理解する、の意である。
二句「人ありあけの」の「ありあけ」は、人が有る意と、有明の月の意とを掛けた掛詞である。有明の月は夜明けの空に残る月のことである。
三句「夜なりせば」の「せば」は反実仮想の条件で、そういう夜であったならば、の意である。結句の「まし」と呼応している。
四句「つきせず身をば」の「つきせず」は、尽きることなく、の意と、「月」とを掛けた掛詞である。題の「月」に当たる。
結句「恨みざらまし」の「まし」は反実仮想で、恨むことはなかっただろうに、の意で結ぶ。
ありあけ:人が有る意と、夜明けの空に残る有明の月を掛ける
つきせず:尽きることなくの意と、月を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あさの月信太の森の千枝よりも 繁きなげきやくまなかるらん
- 次の歌
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数ならぬ心のとがになしはてじ 知らせてこそは身をも恨みめ