数ならぬ心のとがになしはてじ
知らせてこそは身をも恨みめ
- 歌の意味
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取るに足りない自分の心の罪だとして、すべてを片づけてしまうまい。思いを打ち明けて知らせてからこそ、わが身をも恨もう。
- 鑑賞
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恋歌 653
詞書「恋」
本文では詞書が「恋」と記され、この歌から巻末の第七百十一首まで、題を特定しない恋の歌が続く。その一首目である。叶わぬ恋を、取るに足りない身の上の自分の心がいけないのだとして、そのまま片づけてしまうことはすまい。せめて思いを相手に打ち明けて知らせたうえで、それでも報われなければ、その時こそわが身を恨もう、と詠む。忍ぶ恋から一歩踏み出そうとする決意を示している。
新古今集の恋歌二に収められている。
初句「数ならぬ」は、数にも入らない、取るに足りない、の意で、身分の低い自分をいう。
二句「心のとがに」の「とが」は、罪、過ち、の意である。
三句「なしはてじ」の「なしはつ」は、すっかりそういうことにしてしまう、の意で、「じ」は打消の意志を表す。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「知らせてこそは」は、思いを相手に知らせてからこそ、の意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「め」と係り結びをなしている。
結句「身をも恨みめ」の「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、わが身をも恨もう、と結ぶ。
かずならぬ:数にも入らない、取るに足りない
とが:罪、過ち
なしはつ:すっかりそういうことにしてしまう
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思ひ知る人ありあけの夜なりせば つきせず身をば恨みざらまし
- 次の歌
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うち向かふそのあらましの面影を まことになして見るよしもがな