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うち向かふそのあらましの面影を
まことになして見るよしもがな

歌の意味
向かい合って逢う時のことを心に思い描く、その面影を、本当のことにして見るすべがあればよいのに。
鑑賞
恋歌 654

詞書は前の歌に続き「恋」
 いつかあの人と向かい合って逢う時のことを、あれこれと心に思い描いている。その思い描いた面影を、現実のものとして見ることができる方法があればよいのに、と詠む。まだ叶わぬ逢瀬を空想するばかりの、もどかしい恋心を表している。

 初句「うち向かふ」は、向かい合う、の意で、恋人と向かい合って逢うことをいう。
 二句「そのあらましの」の「あらまし」は、将来のことを前もって思い描くこと、予想のことである。
 三句「面影を」は、心に浮かぶ姿を、の意である。
 四句「まことになして」は、現実のものとして、の意である。
 結句「見るよしもがな」の「よし」は手段、方法のことで、「もがな」は願望の終助詞である。見るすべがあればよいのに、と結ぶ。

あらまし:将来のことを前もって思い描くこと
よし:手段、方法
作者
西行
出典
山家集
前の歌
数ならぬ心のとがになしはてじ 知らせてこそは身をも恨みめ
次の歌
山賤の荒野をしめて住み初むる かただよりなる恋もするかな