しばしこそ人目つつみにせかれけれ
果ては涙やなるたきの川
- 歌の意味
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しばらくの間こそ、人目をはばかる堤にせき止められていたけれども、ついには涙は鳴滝の川となってあふれてしまうのだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 662
詞書は前の歌に続き「恋」
しばらくの間は、人目をはばかる心の堤によって涙をせき止めていたが、ついにはその涙が、音を立てて流れる鳴滝の川のようになって、あふれ出てしまうのだろうか、と詠む。「つつみ」に包み隠す意と堤とを、「なるたき」に涙が成る意と地名の鳴滝とを掛け、涙が川となって堤を越えるさまを描いている。
前歌の涙川を受けて、この歌も涙を川にたとえ、人目に包み隠していた涙がついにあふれ出すまでを詠み継いでいる。
初句「しばしこそ」は、しばらくの間こそ、の意で、係助詞「こそ」が三句の已然形「けれ」と係り結びをなしている。
二句「人目つつみに」の「つつみ」は、人目をはばかって包み隠す意と、川の堤の意とを掛けた掛詞である。
三句「せかれけれ」の「せく」は、水の流れをせき止める、の意で、「こそ」を受けて已然形で結び、逆接で下の句へ続いている。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「果ては涙や」は、ついには涙は、の意で、係助詞「や」は疑問を表す。
結句「なるたきの川」の「なる」は、涙が川に成る意と、山城国の地名である鳴滝の「鳴る」とを掛けた掛詞である。体言止めで結ぶ。
つつみ:人目をはばかって包み隠す意と、川の堤の意を掛ける
せく:水の流れをせき止める
なるたき:涙が成る意と、山城国の地名の鳴滝を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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涙川深く流るるみをならば 浅き人目につつまざらまし
- 次の歌
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物思へば袖に流るる涙川 いかなるみをに逢ふ瀬なりなん