物思へばちぢに心ぞ砕けぬる
信太の森の千枝ならねども
- 歌の意味
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物思いをすると、心は千々に砕けてしまう。信太の森の楠の千枝ではないけれども。
- 鑑賞
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恋歌 676
詞書は前の歌に続き「恋」
恋の物思いをすると、心は千々に砕けてしまう。千の枝に分かれるという信太の森の楠ではないけれども、と詠む。信太の森は和泉国の歌枕で、千枝に分かれた楠があることで知られた。「ちぢ」と「千枝」を響き合わせ、砕け散る心を千に分かれた枝にたとえている。
本巻の第六百五十一首でも信太の森の千枝を嘆きの繁さと比べており、同じ歌枕で嘆きの多さと心の砕けるさまとを詠み分けている。
初句「物思へば」は、物思いをすると、の意である。
二句「ちぢに心ぞ」の「ちぢに」は、さまざまに、千々に、の意で、結句の「千枝」と響き合っている。係助詞「ぞ」が三句の連体形「ぬる」と係り結びをなしている。
三句「砕けぬる」は、砕けてしまう、の意で、「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「信太の森の」の「信太の森」は和泉国の歌枕で、千枝に分かれた楠があることで知られた。
結句「千枝ならねども」は、千の枝ではないけれども、の意で、上の句に返る倒置となっている。
ちぢ:数の多いこと、さまざま
しのだのもり:和泉国の歌枕、千枝に分かれた楠で知られる
ちえ:千の枝
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さまざまに思ひ乱るる心をば 君がもとにぞ束ね集むる
- 次の歌
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かかる身におほし立てけんたらちねの 親さへつらき恋もするかな