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かき乱る心休めぬ言種は
あはれあはれと嘆くばかりか

歌の意味
乱れる心を休めることもできない私の口癖は、ああ、ああと嘆くことばかりなのだろうか。
鑑賞
恋歌 679

詞書は前の歌に続き「恋」
 思い乱れる心を少しも休めることができず、口をついて出るのは、ああ、ああという嘆きの言葉ばかりなのだろうか、と詠む。言葉にならない嘆きを繰り返すほかない、恋の苦しみの深さを表している。
 本巻の第六百七十五首の「思ひ乱るる心」と通い合い、乱れた心を詠み継いでいる。

 初句「かき乱る」の「かき乱る」は、ひどく乱れる、の意で、「かき」は意味を強める接頭語である。
 二句「心休めぬ」は、心を休めることのない、の意である。
 三句「言種は」の「言種」は、口癖、いつも口にする言葉のことである。
 四句「あはれあはれと」の「あはれ」は、感動や嘆きを表す語で、ああ、ああと、の意である。
 結句「嘆くばかりか」の「ばかり」は限定、「か」は疑問で、嘆くことばかりなのだろうか、と結ぶ。

かきみだる:ひどく乱れる
ことぐさ:口癖、いつも口にする言葉
作者
西行
出典
山家集
前の歌
おぼつかな何の報いの帰り来て 心責むるあだとなるらん
次の歌
身を知れば人のとがには思はぬに 恨み顔にも濡るる袖かな