今日ぞ知る思ひ出でよと契りしは
忘れんとての情けなりけり
- 歌の意味
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今日こそ思い知った。「思い出してね」と約束したのは、私を忘れようとしての情けの言葉だったのだ。
- 鑑賞
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恋歌 685
詞書は前の歌に続き「恋」
かつてあの人が「思い出してね」と約束したのは、実は自分のほうは忘れてしまうつもりでかけた、表向きの情けの言葉だったのだと、今日になって思い知った、と詠む。優しい言葉の裏にあった心変わりの兆しに、時を経て気づいた嘆きを表している。
新古今集の恋歌四に、初句を「今ぞ知る」とする形で収められている。
初句「今日ぞ知る」は、今日こそ思い知る、の意で、係助詞「ぞ」が連体形「知る」と係り結びをなしている。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「思ひ出でよと」は、思い出してくださいと、の意で、相手のかつての言葉である。六音の字余りとなっている。
三句「契りしは」の「契る」は約束する、の意で、約束したのは、ということである。
四句「忘れんとての」は、忘れようとしての、の意で、相手が忘れるつもりであったことをいう。
結句「情けなりけり」の「情け」は思いやりのことで、「なりけり」は気づきの詠嘆である。
ちぎる:約束する
なさけ:思いやり、恋人の情愛
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さることのあるなりけりと思ひ出でて 忍ぶ心を忍べとぞ思ふ
- 次の歌
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難波潟波のみいとど数添ひて うらみの隙や袖の乾かん