難波潟波のみいとど数添ひて
うらみの隙や袖の乾かん
- 歌の意味
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難波潟では、波ばかりがますます数を増して寄せてくる。そのように恨みが絶え間なく続く中で、袖が乾くひまなどあろうか。
- 鑑賞
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恋歌 686
詞書は前の歌に続き「恋」
難波潟に寄せる波がますます数を増すように、涙の波も恨みもいっそう重なってゆく。浦を見る絶え間もなく恨みが続くのだから、袖が乾くひまなどあるはずもない、と詠む。「うらみ」に恨みと浦見とを掛け、難波潟の海辺の情景に涙の絶えない恋を重ねている。
前の第六百八十三首と同じく「うらみ」に浦見を掛け、海の景に恨みを託す趣向を詠み継いでいる。
初句「難波潟」は摂津国の歌枕で、遠浅の海辺として知られた。
二句「波のみいとど」は、波ばかりがいっそう、の意で、波には涙が重ねられている。
三句「数添ひて」は、数が増して、の意である。
四句「うらみの隙や」の「うらみ」は、恨みの意と、浦を見る意の浦見とを掛けた掛詞である。「隙」は絶え間のことで、係助詞「や」は反語を表し、結句の「ん」と係り結びをなしている。
結句「袖の乾かん」は、袖が乾くだろうか、いや乾きはしない、の意で、「や」を受けて連体形で結ぶ。
なにはがた:摂津国の歌枕
うらみ:恨みの意と、浦を見る意を掛ける
ひま:絶え間
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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今日ぞ知る思ひ出でよと契りしは 忘れんとての情けなりけり
- 次の歌
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心ざしありてのみやは人を問ふ 情けはなどと思ふばかりぞ