汲みて知る人もあらなんおのづから
ほりかねの井の底の心を
- 歌の意味
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自然と汲みとって知ってくれる人がいてほしい。掘りかねるほど深い堀兼の井の底のような、私の心の奥底を。
- 鑑賞
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恋歌 690
詞書は前の歌に続き「恋」
掘ろうにも掘りかねるほど深いという堀兼の井の底のように、深く秘めた自分の心の奥底を、言わずとも自然と汲みとって知ってくれる人がいてほしい、と詠む。堀兼の井は武蔵国の歌枕で、掘っても掘っても水が出なかったと伝えられた井戸である。「ほりかね」に掘りかねる意と地名とを掛け、「汲む」「底」を井の縁語として、知られることのない心の深さを表している。
初句「汲みて知る」の「汲む」は、水を汲む意に、人の心を推し量る意を重ねている。井の縁語である。
二句「人もあらなん」の「なん」は他に対する願望を表す終助詞で、人がいてほしい、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「おのづから」は、自然と、ひとりでに、の意である。
四句「ほりかねの井の」の「ほりかね」は、掘りかねる意と、武蔵国の歌枕である堀兼の井とを掛けた掛詞である。
結句「底の心を」の「底」は井の縁語で、心の奥底を、の意である。上の句に返る倒置となっている。
くむ:水を汲む、人の心を推し量る
ほりかね:掘りかねる意と、武蔵国の歌枕である堀兼の井を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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などか我ことのほかなる嘆きせで みさをなる身に生まれざりけん
- 次の歌
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煙立つ富士におもひのあらそひて よだけき恋をするがへぞ行く