煙立つ富士におもひのあらそひて
よだけき恋をするがへぞ行く
- 歌の意味
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煙の立ちのぼる富士の火と、私の思いの火とが競い合って、激しい恋をする身で、駿河の国へと行くことだ。
- 鑑賞
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恋歌 691
詞書は前の歌に続き「恋」
煙を上げる富士の山の火と、自分の胸に燃える恋の思いの火とが、どちらが激しいかと競い合う。そのような激しい恋をする身で、富士のある駿河の国へと行くのだ、と詠む。「おもひ」に思いと火とを、「するが」に恋を「する」と駿河とを掛け、富士の噴煙に恋の炎を重ねている。
初句「煙立つ」は、煙が立ちのぼる、の意で、噴煙を上げる富士の山をいう。
二句「富士におもひの」の「おもひ」は、恋の思いの意と、その「ひ」に火の意とを掛けた掛詞で、富士の火と競い合うものとなっている。
三句「あらそひて」は、競い合って、の意である。
四句「よだけき恋を」の「よだけし」は、おおげさだ、激しい、の意である。
結句「するがへぞ行く」の「するが」は、恋をする意と、駿河の国とを掛けた掛詞である。係助詞「ぞ」が連体形「行く」と係り結びをなしている。
おもひ:思いの意と、火の意を掛ける
よだけし:おおげさだ、激しい
するが:恋をする意と、駿河の国を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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汲みて知る人もあらなんおのづから ほりかねの井の底の心を
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涙川逆巻くみをの底深み みなぎりあへぬ我が心かな