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物思へばまだ夕暮れのままなるに
明けぬと告ぐるしば鳥の声

歌の意味
物思いにふけっていると、まだ夕暮れのままのような心地でいるのに、もう夜が明けたと告げる鳥の声が聞こえる。
鑑賞
恋歌 699

詞書は前の歌に続き「恋」
 恋の物思いにふけっていると、時のたつのも忘れて、まだ夕暮れのままのような心地でいる。それなのに、もう夜が明けたと告げる鳥の声が聞こえてくる、と詠む。物思いのうちに一夜を明かしてしまった驚きと、眠れぬ夜の長さとを表している。「しば鳥」の語義ははっきりしないが、夜明けを告げて鳴く鳥をいうものと解される。

 初句「物思へば」は、物思いをしていると、の意である。
 二句「まだ夕暮れの」は、まだ夕暮れの、の意で、物思いに時を忘れていることをいう。
 三句「ままなるに」の「に」は逆接で、そのままであるのに、の意である。
 四句「明けぬと告ぐる」は、夜が明けたと告げる、の意で、二句の「夕暮れ」と対照をなしている。
 結句「しば鳥の声」の「しば鳥」は語義がはっきりしないが、夜明けを告げる鳥をいうと解される。体言止めで結ぶ。

しばとり:語義未詳、夜明けを告げる鳥と解される
作者
西行
出典
山家集
前の歌
あはれてふ情けに恋の慰まば 問ふ言の葉や嬉しからまし
次の歌
夢をなど夜ごろ頼まで過ぎ来けん さらで逢ふべき君ならなくに