あはれとて問ふ人のなどなかるらん
物思ふ宿の荻の上風
- 歌の意味
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あわれだと思って訪ねてくれる人が、どうしていないのだろう。物思いに沈む家には、荻の葉の上を吹く風ばかりが訪れて。
- 鑑賞
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恋歌 705
詞書は前の歌に続き「恋」
恋の物思いに沈む自分の家を、あわれだと思って訪ねてくれる人がどうしていないのだろう。訪れてくるのは、荻の葉の上を吹いて音を立てる風ばかりである、と詠む。人の訪れのない寂しさを、秋の荻を揺らす風の音によって際立たせている。荻の上風は、人の訪れを思わせる音として詠まれることが多い。
初句「あはれとて」は、かわいそうだと思って、の意である。
二句「問ふ人のなど」の「問ふ」は、訪ねる、見舞う、の意で、「など」は、どうして、の意である。
三句「なかるらん」の「らん」は原因推量で、いないのだろう、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「物思ふ宿の」は、物思いに沈む家の、の意で、八音の字余りとなっている。
結句「荻の上風」の「上風」は、草木の葉の上を吹く風のことで、体言止めで結ぶ。荻を揺らす風の音が、人の訪れのない寂しさを際立たせている。
とふ:訪ねる、見舞う
をぎ:水辺に生えるイネ科の草
うはかぜ:草木の葉の上を吹く風
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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紅の色に袂のしぐれつつ 袖にあきある心地こそすれ
- 次の歌
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わりなしやさこそ物思ふ袖ならめ あきにあひても置ける露かな