わりなしやさこそ物思ふ袖ならめ
あきにあひても置ける露かな
- 歌の意味
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どうにもならないことだ。いかにも物思いをする袖ではあろうが、秋に出会って、あの人に飽きられてもなお、露が置いていることよ。
- 鑑賞
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恋歌 706
詞書は前の歌に続き「恋」
物思いをする袖であるから、涙に濡れるのは当然ではあろう。しかし秋に出会い、あの人に飽きられてしまった今もなお、袖には露のような涙が置き続けている。それがどうにもやりきれない、と詠む。「あき」に季節の秋と心変わりの飽きとを掛け、秋の露に涙を重ねている。
本巻の第七百三首、第七百四首に続いて「あき」に秋と飽きとを掛けており、三首が同じ掛詞によって詠み継がれている。
初句「わりなしや」の「わりなし」は、どうにもならない、やりきれない、の意で、「や」は詠嘆を表す。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「さこそ物思ふ」の「さこそ」は、いかにもそのように、の意で、係助詞「こそ」が三句の已然形「め」と係り結びをなしている。八音の字余りとなっている。
三句「袖ならめ」は、袖ではあろうが、の意で、「こそ」を受けて已然形で結び、逆接で下の句へ続いている。
四句「あきにあひても」の「あき」は、季節の秋の意と、心変わりの飽きの意とを掛けた掛詞である。
結句「置ける露かな」の「露」は秋の露に涙を重ねたもので、「かな」は詠嘆の終助詞である。
わりなし:どうにもならない、やりきれない
あき:季節の秋の意と、心変わりの飽きの意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あはれとて問ふ人のなどなかるらん 物思ふ宿の荻の上風
- 次の歌
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秋深き野辺の草葉に比べばや 物思ふ頃の袖の白露