あはれあはれこの世はよしやさもあらばあれ
来む世もかくや苦しかるべき
- 歌の意味
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ああ、ああ、この世はもうどうなってもかまわない。そうであるならそれでよい。けれども来世もこのように苦しいのだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 710
詞書は前の歌に続き「恋」
ああ、ああと嘆きながら、恋に苦しむこの世のことは、もうどうなってもかまわない、なるようになればよいと投げ出す。けれども、来世までもこのように苦しいのだろうか、と詠む。現世の恋の苦しみをあきらめながらも、その執着が来世にまで及ぶことを恐れる心を表している。初句と三句が字余りとなった破格の調べに、抑えきれない嘆きがあふれている。
前歌が涙を三途の川にたとえたのに続き、この歌も来世の苦しみを詠んでおり、恋の部の終わり近くで、恋の苦しみが来世への恐れへと深まっていく。
初句「あはれあはれ」の「あはれ」は、嘆きを表す語で、ああ、ああ、の意である。六音の字余りとなっている。
二句「この世はよしや」の「この世」は現世のことで、「よしや」は、ままよ、どうなってもかまわない、という投げやりな気持ちを表す。
三句「さもあらばあれ」は、そうであるならそれでよい、どうともなれ、の意で、七音の字余りとなっている。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「来む世もかくや」の「来む世」は来世のことで、二句の「この世」と対をなしている。係助詞「や」は疑問を表し、結句の連体形「べき」と係り結びをなしている。
結句「苦しかるべき」は、苦しいのだろうか、の意で、「や」を受けて連体形で結ぶ。
このよ:現世
こむよ:来世
よしや:ままよ、どうなってもかまわない
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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物思ふと涙ややがて三瀬川 人を沈むる淵となるらん
- 次の歌
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頼もしな宵暁の鐘の音 物思ふ罪もつきざらめやは