- 歌の意味
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頼もしいことだ、宵と暁に撞く寺の鐘の音は。恋に物思いをする罪も、尽きないことがあろうか、きっと尽きるだろう。
- 鑑賞
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恋歌 711
詞書は前の歌に続き「恋」
宵と暁に撞かれる寺の鐘の音は頼もしいことだ。その鐘の音を聞けば、恋に物思いをする罪も、尽きずに残ることがあろうか、きっと消えてゆくだろう、と詠む。仏道では恋の執着は罪とされるが、勤行を告げる鐘の音に、その罪が消えてゆく救いを見いだしている。「つき」に罪が尽きる意と鐘を撞く意とを掛けている。
恋の部の巻末に置かれた一首である。前の二首が恋の苦しみが来世にまで及ぶことを恐れたのを受け、この歌は鐘の音による救いへの望みで結んでいる。巻頭の第五百七十八首が名を聞いて人を訪ねる恋の始まりを詠んだのに対し、巻末は恋の罪が尽きることを願って閉じられており、恋の始まりから、仏道に救いを求めるところまでを一巻で描いている。
初句「頼もしな」の「頼もし」は、頼りになる、心強い、の意で、「な」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「宵暁の」は、宵と暁の、の意で、寺で勤行の時刻を告げて鐘を撞く時をいう。
三句「鐘の音」は、寺の鐘の音のことで、初句の「頼もしな」の主語となる倒置となっている。ここでも句切れとなる。
四句「物思ふ罪も」は、恋に物思いをする罪も、の意で、仏道では恋の執着は罪とされた。
結句「つきざらめやは」の「つき」は、罪が尽きる意と、鐘を撞く意とを掛けた掛詞である。「めやは」は反語で、尽きないことがあろうか、きっと尽きる、と結ぶ。
よひ:夜に入って間もない頃
あかつき:夜明け前のまだ暗い頃
つく:罪が尽きる意と、鐘を撞く意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あはれあはれこの世はよしやさもあらばあれ 来む世もかくや苦しかるべき
- 次の歌
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つくづくと物を思ふにうち添へて 折あはれなる鐘の音かな