- 歌の意味
- 曇りもなく澄んだ鏡の上にとまっている塵を、目にとめて見るように、この世を見る世だと思いたいものだ。
- 鑑賞
-
雑歌 717
詞書は前の歌に続き「雑」
曇りのない鏡の上にとまった塵を目にとめて見るように、この世をとらえたい、と詠む。曇りのない鏡は澄んだ心のたとえで、俗世をその鏡に付いた塵のような小さなものとして見定めたいという願いが込められている。
初句「曇りなう」は「曇りなく」の音便で、曇りもなく、の意である。
二句「鏡の上に」は、鏡の面の上に、の意で、鏡は澄んだ心をたとえる。
三句「ゐる塵を」の「ゐる」は、とまっている、の意で、鏡の上の小さな塵をいう。
四句「目に立てて見る」は、目にとめてよく見る、の意である。
結句「世と思はばや」の「ばや」は願望の終助詞で、そういう世だと思いたいものだ、と結ぶ。
ゐる:とどまる、とまっている
めにたつ:目にとめる、注意して見る
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 我が宿は山のあなたにあるものを 何に憂き世を知らぬ心ぞ
- 次の歌
- 長らへんと思ふ心ぞ露もなき 厭ふにだにも堪へぬ憂き身は