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長らへんと思ふ心ぞ露もなき
厭ふにだにも堪へぬ憂き身は

歌の意味
生き長らえようと思う心など少しもない。この世を厭うことにさえ堪えきれない、つらいわが身は。
鑑賞
雑歌 718

詞書は前の歌に続き「雑」
 生き長らえたいと思う心など少しもない、この世を厭うことにさえ堪えられない憂き身なのだから、と詠む。前歌、前々歌の「長らへまうき」と通じる、生きることに倦んだ心を述べている。

 初句「長らへんと」は、生き長らえようと、の意で、六音の字余りである。第七百十三首の「長らへまうき」と同じく「長らふ」の語を用いている。
 二句「思ふ心ぞ」の「ぞ」は係助詞で、結句ではなく三句の「なき」で連体形で結ぶ係り結びとなっている。
 三句「露もなき」の「露も」は、少しも、の意で、「なき」は係助詞「ぞ」の結びの連体形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「厭ふにだにも」の「だに」は、〜さえ、の意の副助詞で、世を厭うことさえ、の意である。
 結句「堪へぬ憂き身は」は、堪えられないつらいわが身は、の意で、倒置によって三句までの心を受けている。

ながらふ:生き長らえる
いとふ:嫌って避ける、厭う
作者
西行
出典
山家集
前の歌
曇りなう鏡の上にゐる塵を 目に立てて見る世と思はばや
次の歌
思ひ出づる過ぎにし方を恥づかしみ あるに物憂きこの世なりけり