世の中にすまぬもよしや秋の月
濁れる水のたたふさかりに
- 歌の意味
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世の中に住まないのもよいことだ。秋の月も、濁った水が満ちている盛りには澄んで映りはしないのだから。
- 鑑賞
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雑歌 720
詞書「世に仕うべかりける人の籠り居たりけるもとへ遣はしける」
本来なら世に出て仕えるべきであった人が、出仕せずに籠もっていたところへ贈った歌である。濁った水が満ちているときには秋の月も澄んで映らないように、世が乱れ濁っている今は、世に出て住まないのもよいことだ、と相手の籠居を肯定して慰めている。
初句「世の中に」は、俗世間に、の意である。
二句「すまぬもよしや」の「すま」は、世に住む意と、月が澄む意とを掛けた掛詞である。「よしや」は、よいことだ、の意で、ここで句切れとなる。
三句「秋の月」は、澄んだ光の象徴で、二句の「すまぬ」を受けている。
四句「濁れる水の」は、濁った水の、の意で、乱れた世のたとえである。「すむ」と「濁る」が対になっている。
結句「たたふさかりに」の「たたふ」は、水が満ちる意で、濁った水が満ちている盛りには、と結ぶ。
すむ:世に住む意と、月が澄む意を掛ける
たたふ:水がいっぱいに満ちる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思ひ出づる過ぎにし方を恥づかしみ あるに物憂きこの世なりけり
- 次の歌
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世の憂きにひかるる人はあやめ草 心のねなき心地こそすれ