- 歌の意味
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この世のつらさをすっかり昔話にしてしまったならば、花橘の香によってそれを思い出すことなどあろうか。
- 鑑賞
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雑歌 722
詞書「寄花橘述懐」
題「寄花橘述懐」は、花橘に寄せて思いを述べる題である。この世のつらさをすっかり過去の話にしてしまえば、昔を思い出させる花橘の香に触れても、それを思い出すことはないだろう、と詠む。世を離れて憂さを過去のものにしたいという願いがこもっている。
本巻の第七百十四首に続いて、昔を呼び起こす花橘の香を詠んでいる。
初句「世の憂さを」は、この世のつらさを、の意である。
二句「昔語りに」の「昔語り」は、昔の話の意である。
三句「なし果てて」は、すっかりしてしまって、の意である。
四句「花橘に」の「花橘」は、昔を思い出させる香の花で、第七百十四首の二句と同じ語である。
結句「思ひ出でめや」の「めや」は反語で、思い出すことがあろうか、いや思い出しはしない、と結ぶ。
むかしがたり:昔の話
はなたちばな:橘の花、昔を思い出させる香の花とされる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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世の憂きにひかるる人はあやめ草 心のねなき心地こそすれ
- 次の歌
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空になる心は春の霞にて 世にあらじとも思ひたつかな