世を厭ふ名をだにもさは留めおさて
数ならぬ身の思ひ出にせん
- 歌の意味
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世を厭う者という名だけでも、それならばこの世に留めておいて、物の数にも入らないわが身の思い出にしよう。
- 鑑賞
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雑歌 724
詞書「同じ心を」
前歌と同じ「寄霞述懐」の題で詠んだ歌である。取るに足りない身ではあるが、せめて世を厭い捨てた者という名だけでもこの世に残して、わが身の思い出にしよう、と詠む。出家を決意した者としての覚悟を述べている。
初句「世を厭ふ」は、俗世を嫌って離れる、の意である。
二句「名をだにもさは」の「だに」は、せめて〜だけでも、の意で、「さは」は、それならば、の意である。
三句「留めおさて」は、本文に「とどめおさて」とあるが、「とどめおきて」の意に解する。この世に留めておいて、の意で、六音の字余りである。
四句「数ならぬ身の」は、物の数にも入らない取るに足りない身の、の意である。
結句「思ひ出にせん」の「ん」は意志の助動詞で、思い出にしよう、と結ぶ。
かずならぬみ:物の数にも入らない取るに足りない身
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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空になる心は春の霞にて 世にあらじとも思ひたつかな
- 次の歌
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柴の庵と聞くはくやしき名なれども 世に好もしき住まひなりけり