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驚かぬ心なりせば世の中を
夢ぞと語るかひなからまし

歌の意味
もしあなたが目覚めることのない心であったならば、世の中を夢であるとお話しする甲斐もなかったであろう。
鑑賞
雑歌 731

詞書「返事」
 前歌の成通の返事に、西行がさらに返した歌である。あなたが目覚めることのない心であったなら、世の中は夢であると語っても甲斐がなかったでしょう、と詠み、成通の心が仏道に開かれていることを喜んでいる。前歌の「驚かす」に「驚かぬ」で応じている。

 初句「驚かぬ」は、目覚めない、気づかない、の意で、前歌の初句「驚かす」に応じている。
 二句「心なりせば」の「せば」は反実仮想の仮定で、もし〜であったならば、の意である。
 三句「世の中を」は、この世を、の意である。
 四句「夢ぞと語る」は、夢であると語る、の意で、前歌の「久しき夢」を受けている。
 結句「かひなからまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、甲斐もなかったであろう、と結ぶ。

かひ:効果、しるし
作者
西行
出典
山家集
前の歌
驚かす君によりてぞ長き世の 久しき夢は覚むべかりける
次の歌
夜もすがら月を眺めて契り置きし その睦言に闇は晴れにき